Freeman & Medoffのvoice effect
GPT5.iconFreeman & Medoff(1984)の要点
主著:What Do Unions Do?(1984)。先行論文「労働組合の二つの顔(Two Faces of Unionism)」で枠組みを提示。 (freeman.scholars.harvard.edu)
核心主張:組合には
1. 独占の顔(賃金プレミアム=企業利潤を圧迫)と、
2. 集合的ボイス/制度応答の顔(不満・知見を集約し、制度で経営に伝える)
の二面がある。後者は情報共有・手続の整備を通じて効率に寄与しうる。
主要エビデンス:組合は離職率を下げ、勤続年数を伸ばす。この効果は賃金・手当だけでは説明しきれず、ボイス機能の寄与が推定される。 (NBER)
企業パフォーマンス:利潤は一貫して低下(賃上げで超過利潤を移転)。生産性は環境次第で正負が混在し、平均ではゼロ近辺との後続レビュー。 (NBER, EconStor)
結論(のちの自己評価):「ボイスの正の効果」が「独占の負の効果」を上回るため、組合衰退は社会的損失だと総括。ただし非組合型のボイス制度の設計も重要と位置づける。 (NBER)
補足:この枠組みは Hirschman の「Exit–Voice–Loyalty」を職場に応用したもの(本文でも明示)。
参考:1979年「Two Faces of Unionism」(The Public Interest/本文PDF)、1984年書籍、Freeman(2005)再評価論文、Hirsch(2003)のパフォーマンス検証。 (freeman.scholars.harvard.edu, NBER, EconStor)
関連:
離脱・発言・忠誠
中小企業の経営実態および必要な支援策に関する調査の結果について 村上英吾 PDF
一つは離職(Exit)してより良い条件の仕事に移るという方法であり,もう一つは労働条件を改善するよう雇用主に要求するという方法である.ただし,個々の労働者が雇用主に対して要求しても聞き入れられる可能性が低く,要求によっては解雇される恐れもあるため,労働者は労働組合を通じて要求を実現しようとする.労働組合が労働者の不満を集約して雇用主と交渉することで労働環境が改善すれば,離職率が低下して,採用や人的資源投資のためのコストが抑制されるとともに,労働者全体の技能水準が維持されて生産性を高めることができるかもしれない.これが発言効果(Voice Effect)である.